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おばあちゃんの台所 素敵に歳を重ねた女性の笑顔って、とてもあたたか。ぽかぽかとした陽だまりのような、おだやかな優しさに満ちています。そんな魅力いっぱいの“おばあちゃん”のもとをたずねて、自慢の手料理を教えていただくことになりました。
第11回 自宅でカフェ気分を演出する定番プラスαメニュー
忙しい毎日が続くと、「カフェでのんびりしたいなぁ」って思いませんか。でもなかなか時間がない。そんな時は、カフェのリラックス感と料理を、自分で演出してみてはいかがですか? 今回教えていただいたのは、自宅を改造して喫茶サロンを切り盛りしている松井京子さん。「全部自分ひとりでやらなくちゃいけないから、時間のかからないメニューにしたんですよ」とおっしゃいますが、下ごしらえはもちろん、素材・食器の選び方にちょっと気をきかせることで、とってもステキなカフェごはんになるんです。みなさんも京子さんのカフェを訪ねた気分で、さぁ始めてみましょう。

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1)サロンのメニュー表は籐細工を吊ったアジアン風のナチュラル・テイスト。友人や常連客が持ち寄る人形や小物がにぎやかに並びます。2)「ずっと働いていたから、退職しても何かしないと気がすまないのよ」と、毎日の仕事を楽しむ京子さん。現在は夫と、都内の大学に通う孫娘さんと3人暮らし。5人のお孫さんとも友達感覚で話せるイマドキな女性です。3)カレーのルーは3年ごしでつぎ足してきた熟成もの。カレー粉で野菜を煮込み、ウコンや唐辛子のほか隠し味に梅干しも入った特製ルーです。4)定番メニューも、素材選びや盛り付けに少し気を配ればこんなにオシャレな「隠れ家カフェ風」に。5)カフェエプロンがお似合い。気さくな京子さんとの会話を楽しみに通うビジネス客も多いそう。
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戦火の中を生きのび
若くして結婚へ
 サロンをたずねたのは終戦60年を迎えた2005年8月初旬。松井京子さんは「戦争は本当にイヤね……」と静かに語り始めました。昭和12年(1937年)に東京・板橋区で生まれ、幼い頃に幾度も空襲の恐怖を体験。幼い記憶に刻まれた、焼け焦げた町と痛ましい人々の姿は今も消えません。そして出征中の父はテニアン島で終戦直前の玉砕。戦後は4人きょうだいの長女として、家業の商店をひとりで切り盛りする母を気丈に支えました。
 年頃となり、自宅に下宿していた年上の大学生と親しくなった京子さん。「昔の学生はステキでしたよ。バンカラで趣味と言えばボートとかね。今の子たちよりもなんだか男前だったわねぇ」。そんな初恋が見事に実ったのは、就職した彼の仕事が軌道に乗り、京子さんが20歳になった頃でした。
 新婚早々、夫婦は現在の住まいである新座市に自宅を購入します。住宅ローンは夫の勤務先の銀行から借り、返済は給料から天引き。質素ながらも、誠実な銀行員の夫と一男二女に囲まれた穏やかな日々でした。ところがある日、事態は急変。夫が突然倒れ急逝してしまったのです。「淋しい、悲しいと思う間もなく『ローンも子育てもどうしよう?』と途方に暮れました。そんな時、夫の勤め先だった銀行から『働いてみませんか』とお誘いがあったんです」。
 33歳の専業主婦・京子さんは一大決心、四十九日を終えてすぐ銀行員として働き始めます。「勤めた経験がなくて不安はありました。でも、『人間のやることなら私にもできるはず。悩む時間があったらやってみよう』と」。この強さとパワフルさ、見習いたいものです。


喫茶サロンで腕をふるい
時には海外旅行も満喫
 子供3人との生活費と家のローンを女性ひとりの給料でまかなうのは大変なこと。「それでも、夫と手に入れた自宅を手放すことだけはしたくなかったんです。何も贅沢をしないで、特にボーナスには全く手をつけずにすべて返済に充てましたね」。42歳のときに建築家の男性と再婚しますが、京子さんは定年まで勤めあげて住宅ローンを完済しました。
 退職後、趣味でコーヒー・紅茶の作法やお菓子作りを身につけた京子さんは一方、自宅の敷地内で借家を経営。そのうちの一軒が空き家になった時、喫茶サロンの経営を思いつきます。「一軒分の家賃を稼がなければと考えた時、ちょうど自分が身につけた喫茶の知識やお菓子作りが生かせるかな、と思ったんです」。建築家の夫が内装を担当、リサイクル家具を調達して2002年に喫茶店「岡サロン」をオープン。店名は最寄り駅「ひばりヶ丘」の「おか」から取りました。
 オリジナルの特製カレーやちらしずし、ホームメイドケーキの味と、京子さんのあたたかい人柄が“居心地のいい隠れ家”としてクチコミ人気を呼んだ岡サロン。開店以来丸3年、お客が1組も入らなかった日がないというからご立派です。 週に二日の定休日も料理の仕込みなどで忙しい京子さんですが、たまにはお店を休んで海外旅行へ行くのが今の楽しみなのだそう。「一番好きなのはバリかな。だんだん畑が広がって、まるで昔の日本みたいにのどかなんです」。若い頃には無縁だったレジャーも、今はマイペースで満喫する活動的な京子さんでした。
常連客も心待ち、
幻(!?)のマドレーヌ
しっとりした生地に甘さがふんわり広がる自家製マドレーヌは、まさにプロ仕様の逸品。定年退職後、「お菓子作り教室」で教わったレシピの砂糖を少し控え、スライスアーモンドを加えています。「時間のある時に焼くんですが、1度に15個だけしか焼けなくて。お客様はもちろん孫たちも大好きでいつも催促されるんですけど、なかなかいつもは用意できなくてね……(苦笑)」。まさに貴重なプレミア・スイーツです。この他、サロンにはチーズケーキやごまケーキなども登場します。
マドレーヌ マドレーヌ
岡サロン(OPEN:11〜17時、日・月休)
TEL 0424-72-4066
埼玉県新座市栗原1-6-12

協力/大竹ゆみ、堀江淳子
構成/松田優子 取材・文/水野成美 撮影/堀 智昭
京子さんが伝授するレシピ はこちら



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