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おばあちゃんの台所 素敵に歳を重ねた女性の笑顔って、とてもあたたか。ぽかぽかとした陽だまりのような、おだやかな優しさに満ちています。そんな魅力いっぱいの“おばあちゃん”のもとをたずねて、自慢の手料理を教えていただくことになりました。
第10回 身近な素材で手早く完成、華やかアイディア料理
夏まっさかり。厳しい暑さのなか、火を使う台所に立つ時間は少しでも減ったほうがうれしい!と思う方が多いのではないでしょうか。そこで今月は、4人の子育てと仕事を両立させ、時間と手間を上手に節約してきた、松本京子さんにご登場いただきました。京子さん流・家庭料理のキーワードは、「手軽に」「手早く」「美しく」。さまざまなアイディアを生かした料理は、どれも見た目の豪華さから予想できないほど、サッと手軽に作れるメニューなのです。一方、たまに時間のたっぷりとれる日があったら、手間ひまをかけて自家製のぬか漬けや梅酒を手作り。たくさんの趣味を持つ京子さんのメリハリ・ライフスタイル、ぜひ見習いたいものです。

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1)京子さんが手にしているのは乾燥させたドクダミ。ドクダミに、焼酎と薬局で購入するグリセリン数滴を合わせ、自家製化粧水を作っています。「ここ10年くらい基礎化粧品はコレだけ。そばかすが目立たなくなって肌の調子もいいんですよ」。この若さの秘密がお手製のドクダミ化粧水とは驚きです!2)“手作り”が大好きな京子さん。編物、洋裁、手芸、園芸など……身の周りにはお手製のアイテムがいっぱいでした。3)「昔は赤いウインナーでよく作ったわねぇ」と思い出話に花が咲いた「ソーセージのワンタン巻き揚げ」。4)オレンジのポロシャツとお手製のチノパン。84歳とは思えないお若いセンスです。5)素材同士の相性がバツグンのアイディアおかずが勢揃い。どれも手軽に作れるのがうれしいですね。
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ふとした出会いが運命の恋愛結婚につながった
 大正9年(1921年)に生まれてからずっと、東京都葛飾区で過ごしている松本京子さん。体の弱かった母は7歳のときに他界、父が仕事に精を出す昼間は、姉とともに近所の祖父の家に預けられました。「祖父と祖母には本当にかわいがってもらいました。怒られた記憶がないですし、当時まだ高価だった長靴やマントをいち早く買ってもらったりね」。母を亡くした寂しさは大きかったけれど、何不自由なく育った京子さん。高等科を卒業した15歳からは、米作りを手がける家業の農業に従事しました。
 25歳になった京子さんは、姉の嫁ぎ先である果物店で1歳年上の自動車修理工の男性と出会います。お互いなんとなく意識し合いながらも、彼は召集を受けて戦地へ。「お付き合いしていたわけでも約束したわけでもありません。ただ彼の出征中に別の縁談話が来ても、なぜか気が進まなくて……」。終戦となり無事に帰還した彼は、意を決して京子さんにプロポーズ。当時にしてはめずらしい恋愛結婚が成就したのは、京子さん27歳のときでした。
 一男三女、4人の子宝に恵まれた京子さんは、忙しい子育て中から“手作り”にこだわり続けてきました。「当時は物不足の時代で、自分で何でも作りましたねぇ。昔の洋服をほどいて子供服を縫ったり、毛糸のベストや娘の体操ブルマー、息子のバスケットボール用のパンツとかね……」。裁縫も編物もすべて独学というのですから、かなりの努力家ぶりですね。


トレンド先取り(!?)でたくさんの趣味を楽しむ毎日
 子育てが一段落した40代からは、町工場で部品梱包の仕事をスタート、50代までの13年間を正社員として働きました。一方、夫は50歳のとき個人タクシーの運転手として独立。「“好きなことを仕事にしたい”というので、反対する理由もなく賛成しました。言い出したらきかないのが夫の性格でしたしね(苦笑)」と、寛容な妻でした。
 ところが60歳を過ぎた頃、夫が体調不良を訴えるように。数軒の病院を回った後、夫に下った診断はすい臓ガンでした。「健康診断も受けていたのに、“異状なし”という結果だったりしてね。初期には発見しにくい場所だったらしいんです」。
 2年間の闘病の末、64歳で旅立ってしまった夫。大切なパートナーを亡くした京子さんの寂しさを埋めてくれたのが、近所の友達と楽しむ趣味の時間でした。「社交ダンス、フラダンス、カラオケ教室…どれもブームになる前に始めたんですよ」。
 そして今は、家の中でのんびりと没頭できる趣味もお気に入り。ミシンでバッグや帽子などの小物を作り、オーブンでパンやクッキーを焼き、化粧水やヨーグルトも自家製、庭の草木の手入れもお手のもの。のんびりとマイペースで好きなことをできる今の生活がとても楽しいそうです。
「たくさん作って、もうあちこちに配りつくしてしまったの。もしよかったら受け取ってくださる?」と謙遜しながら、私たち取材陣へ手渡してくださったのが、写真にも写っている白い手提げバッグ。流行を取り入れた華やかなセンスに感激すると同時に、本当の“おばあちゃんち”を訪ねたような、懐かしくあたたかい気持ちに包まれました。
教室中で大人気だった
息子のお弁当
ウインナーのワンタン巻き揚げは、手早くできる上に冷めてもおいしいので、息子さんが小学校時代お弁当によく入れたおかずだそう。「息子が教室でお弁当を広げると、お友達が『うわぁおいしそう!』と集まってくるんですって。得意になってどんどんあげちゃうものだから、帰宅したときには『みんなおいしいって言ってたけど、僕は全然食べられなかった』と言っていたこともありましたっけ。息子にはちょっと気の毒でしたが、お友達みんなにおいしいと言ってもらえてうれしかったですね」。
チゲ鍋 ウインナーのワンタン巻き揚げ
構成/松田優子 撮影/小川玲子 
取材・文/水野成美
京子さんが伝授するレシピ はこちら



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