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おばあちゃんの台所 素敵に歳を重ねた女性の笑顔って、とてもあたたか。ぽかぽかとした陽だまりのような、おだやかな優しさに満ちています。そんな魅力いっぱいの“おばあちゃん”のもとをたずねて、自慢の手料理を教えていただくことになりました。
第3回 十谷の地野菜をたっぷり味わうヘルシーな和食
今回も山梨県・鰍沢町から、郷土グルメの体験施設「つくたべかん」の、石井きく恵さんの登場です。地元の郷土料理研究会で会長をつとめるきく恵さん、取材の合間にも館内のスタッフをてきぱきとまとめあげるリーダーぶりを発揮し、その頼もしさに私たちも心から脱帽! 夫の留守を守り続けた主婦としての強さ、今も現役で活躍中の充実したライフスタイルと、ヘルシー志向の手料理を教えていただきましょう。

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1)「つくたべかん」の売店コーナーでは、地野菜や手作りのおそうざい、調味料などが驚くほど安価で販売されています。2)スタッフの皆さんから「会長さん」と慕われているきく恵さん。ピンクのエプロンがお似合いです。3)いつも見慣れた野菜も、天ぷらにすればプチ・ゴージャスなごちそうに変身。4)「料理は特別に勉強したことはないんです。昔から教わってきたものが身についているだけなんですよ」。5)野菜の天ぷら、大根菜とちくわの炒め物、ふき入り太巻き寿司など、素朴な中に工夫が光るヘルシーな和食の献立です。
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夫婦水入らずの新婚暮しから、夫の留守を待つ強い妻へ


 キリリとした表情で「つくたべかん」の女性スタッフをまとめあげる、78歳の石井きく恵さん。彼女は養蚕や稲作を手がける鰍沢の農家に生まれ、尋常高等小学校卒業後すぐにカイコや馬の世話、水田の仕事を始めました。23歳の時、お見合いで結婚した夫は地元で林業に従事する次男坊。「夫婦水入らずの新婚家庭を持てたんですが、しばらくして夫は掘削の仕事で富山の黒四ダム(黒部川第四ダム)に行ってしまって。 その後は20年間も、2カ月に1度の帰宅を待ちながら家を守ったんですよ」。いやはや母は強しと言いますが、細い体に似合わぬ芯の強さをきく恵さんに感じるのは、その頃の苦労を乗り越えてきた頼もしさゆえかもしれません。4人のお子さんのうち、現在は3人が県内在住でお孫さんも7人。夫は残念ながら7年前に他界、今は一人暮らしですが、家族とのコミュニケーションはばっちりだそう。 「電話や行き来は頻繁にあるし、そうそう、孫に手料理をふるまうこともあるの。私が作る味ごはん(炒め野菜入りかやくごはん)は、孫たちの大好物なんですよ」。


地元の素材で新メニューを生み出し続ける
 料理上手のきく恵さんが、仕事として料理を作るようになったのは9年前から。96年にオープンした地元の温泉施設「かじかの湯」で、郷土料理を提供することが決まってからです。女性たちが集まり献立を相談していく中で郷土料理研究会が結成され、研究熱心なきく恵さんが会長に推薦されました。そして翌97年、「つくたべかん」がオープンしたのです。
 鰍沢名物の“みみ”、わらびやふきなどの山菜やキノコ、手づくりの柚子味噌やねじり菓子。季節ごとに地元の素材で作るレパートリーの広さがここの自慢です。現在も、きく恵さんは仲間たちと共に、常に新しいメニューを考え出しています。例えば、本来は主食であるみみの生地に砂糖を練り込み、三角に折って油で揚げたお菓子。「何度か試作品を作ったんだけど、ついに商品化が決まったの。ユニークでしょう」とすすめてくださったその味は、ほのかな甘みと香ばしさが素朴な、かりんとう風スナックでした。
 季節ごとの新作メニューとてきぱき働くきく恵会長さんは、文字通りここ「つくたべかん」の看板メニュー&看板娘(!)なのですね。
冬の食卓を支えたふきの塩漬け
「小さい頃、よくふきを採りに沢を歩きました。独特のさわやかな香りは自生のものが最高よね。そのまま茹でたり煮たりはもちろん、冬に向かう時期には塩漬けして保存食にすることも多いんです。雪が多く野菜不足になりがちな冬は、漬けたふきを塩抜きして作ったおかずが、いつも食卓に並んだもの。ここ『つくたべかん』では太巻き寿司の具にふきを使っていて、地元ならではの味となかなか好評なんですよ。」
ふき ふき
取材協力/「つくたべかん」
電0556-20-2020
営業時間10:00〜17:00、木休(祝日は営業)
http://www.town.kajikazawa.yamanashi.jp/
tsukutabe_idx.html

構成/松田優子 撮影/神田正人 
取材・文/水野成美
きく恵さんが伝授するレシピ はこちら



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